
住民と一緒に佐世保市に抗議
緊急レポート
民主主義に対する重大な挑戦
2009年10月3日 日本共産党佐世保市議 山下千秋
はじめに
長崎県知事あてに提出された、土地の強制収用につながる事業認定申請するなという署名がコピーされ、佐世保市や川棚町に渡され、それを使って、署名した町職員に対して「慎重に」などと圧力を加えていたという問題が明らかになりました。さらに、これほどの問題に対して、「問題はない」と平然と居直るというにいたっては、もはや、石木ダム建設反対、賛成という問題にくわえて、個人保護情報を取り扱う民主主義が問われるという問題に発展してきたといえる。石木ダム建設反対世論を強めるという課題に加えて、個人保護条例を形骸化させてはならないという新たな民主主義守るという課題が生まれてきた。
事実経過を整理
6月23日、建設反対署名簿を提出。
29日、署名簿のコピーが、石木ダム建設事務所から、佐世保市、川棚町に「情報共有化のために」といって、手渡される。
川棚町ダム対策室は、閲覧したところ、町職員の名前を見つけ付箋を付けて竹村町長に渡した。
佐世保市は、署名簿コピーはかぎ付き金庫に保管し続けた。
これらの事実が、9月25日明らかになり、住民側は9月25日、長崎県に抗議、川棚町には26日に抗議、佐世保市には29日に抗議、さらに10月2日、川棚町、石木ダム建設事務所に抗議した。
長崎県の問題
県知事あてに提出された署名簿全部をコピーしたものを川棚町、佐世保市に、手渡した。その際、長崎県石木ダム建設事務所は、「反対派住民の居住地域を分類し、ダムに理解を得るための広報活動に利用するつもりだった」とマスコミ(9月付西日本)に説明をしているとおり、目的外使用は明白。
長崎県桑原徹郎土木部長は、28日県議会議運において、「個人情報をしっかり取り扱うべきところを、行き届かず申し訳ない。結果としてダム事業に疑念を抱かせることになった。深く反省している」と陳謝し、同日コピーを回収した。
しかし、一方では、「配布は情報共有が目的。条例違反の目的外使用には当たらない」と強弁している。
佐世保市の問題
佐世保市は、「署名簿コピーは、佐世保市としては必要のないものだったし、使うつもりもなかったので、受けとってそのまま、金庫に保管していた。閲覧もしていないし、使ってもいない。(9月29日住民側抗議にこたえて、また10月2日市議会水資源特別委員会にての水道局答弁)」ということを明らかにした。
情報共有文書にあたらない、知る必要もない、使うつもりもないコピーをなぜ、回収されるまで3ヶ月間も保有し続けたのかという追及に対して、「いつ返すかどうかは自分(水道局長)が決めることで、他人からとやかく言われることではない」などというきわめて傲慢な態度をとった。
この事実経過は、彼らの言明と違って、「閲覧もしたし、何らかの使用を考えていたのでは。だから、問題意識もなくコピーも受け取ったし、回収されるまで保有し続けたのでは」という十分な疑惑をもたれることになっている。
個人保護条例の理解もできていないし、厳守するという意志もない。
明白に追及されることはごまかし、開き直るという悪質な態度をとっている。
川棚町の問題
県から、「情報の共有」と言われるままに、違法署名簿コピーを閲覧し、町職員に対し、町長が呼び出したり、各職場に出向き、あるいは庁舎内で会った際に、「署名は慎重を期すように」などと注意した。竹村町長は「町が事業を推進するなかで、職員の行動は慎重であるべきと思った。圧力をかけるつもりはなかった」などと釈明しているが、町長と町職員という関係のなかでは、客観的には圧力以外の行為以外のなにものでもない。憲法上保障されている基本的人権をこれほど露骨に侵害するものはない。
根底に潜む基本的人権無視の態度
長崎県、佐世保市、川棚町、共通していることは、共同の事業者であるから情報の共有は当然であり、個人情報保護法違反には当たらないという立場をとっていることだ。したがって、反省もなければ、県民に対する謝罪もない。
これでは、石木ダム反対署名だけでなく、他の署名運動だって委縮することは明白だ。署名を集める側は、もはや、責任もって「目的外使用しません」などと説明することはできない。署名運動もできない社会になってしまう。
長崎県は機動隊導入の反省もない、反対地権者の意思に反する嫌がらせへの反省もない、だからいままた、強制収用につながる事業認定申請の機をうかがうという態度をとっているのだ。基本的人権の尊重という最も大事な態度が欠落していることに、根本的問題があるといえよう。
石木ダム関係者だけでなく、全国民的課題として、長崎県、佐世保市、川棚町の態度を追及し、反省を迫る新たな運動が必要になってきている。